2014年8月8日

ヒトは自分と似た性格のヒトに出会うと反発する

ヒトを売るというと『借金をカタに、男はマグロ漁船か原発に送り、女はソープに沈める』なんていう闇の金融コンサル業を想像してしまうが、もう少し陽の当たる場所でヒトを売り込む《人材コーディネーター》という仕事がある。

求職者と面接をし、経歴や要望を聞いてキャリアコンサルティングを行った上で、求職者を募集のかかっている企業へとつなぎ合わせ、就業までのサポートをする。掻い摘んで言うとそんな仕事なのだが、これがなかなか海千山千、簡単にはいかないのである。

ヒトに優劣はなく、すべては個性である。


当時の私は、人財育成に必要なこの考え方を基本としてキャリアコンサルティングを行っていた。しかしながら紹介先の企業にするとそんなことは寝耳に水であり、どこの企業も『建前はいいからうちには一番優秀なヒトを紹介してくれ』という。これはコーディネーターにとって一番の腕の見せ所であり最大のジレンマであったと今になって思う。

その一方で、学んだことも数多い。

例えばある時、Cと言う「良さそうな」人材が登録にやってきた。

こちらはあれこれと画策をし、まずは一通りの提案をして一度目の面接が終わると、情報を一枚のシートに仕上げてクラウドに保存する。が、その時ふと頭に引っかかるものがあり、私は過去の経験則の中からAとBという二人の過去の求職者のデータを引っ張り出す。

ヒトを幾つかにタイプ分けするのは、長期的には有効ではない。なぜならヒトは日々変わっていくからだ。ただサンプリングの対象としては助けになることがある。

その二人の求職者ABは、最初に面談した時点で意気投合したにも関わらず、紹介に至る一歩手前の段階で結局破談になったという結果は共通していた。しかもABは共にその後の私自身のサポートに対して不満を抱き、不信感を抱いて去って行ったという「悪い」事例である。

そこで私は、新しく登録に来たCを加えた三人のプロフィールを書き出し、三人の共通点をいくつか焙り出した。次に、一見すると経歴や要望は似ているが紹介に至ったDのデータを引っ張り出してみると、A、B、Cの三人の共通点がほぼ当てはまっていない。更にDと似た条件のSXを加えてみると、A、B、Cとの共通点は皆無だ。

ABCの三人は、全体から見ると明らかに少数派だった。そして、ようやく気が付いた。

三人の共通点を重ね合わせた人物像が、私自身にそっくりだったのだ

そこからは《三度目の正直》よろしく、Cは私の紹介した先へと巣立っていく。

原因は自分の内にある



そもそも職探しには「この経歴ならこの仕事」というような解答がない。必然、それをコーディネーターが見定めて提案をしていくのだけれど、最初はそのサジ加減が難しく、場数を踏みながら、徐々にそのシュートレンジを広げていくことになる。

コーディネーターの仕事をしている時、ヒトを説得するには、相手の話を聞き、共感するのが大切だということを、強く学んだ。と同時に、相手の話に素直に耳を傾けていると、わからない時はわからないとカッコつけずに言えるような、自分のダメな部分を素直に認められる人間の方が、相手は例外なく信頼してくれた。

要は上っ面だけカッコつけても結局は見抜かれているということだ。

そして、私はA、B、Cとの関わりの中で、自分が「何だかこの人と話していると妙に腹が立つな」という時は、先に自分を疑い、逆に相手から見れば、私に対して同じ様に不快感を持っているのだろうと、原因が原因が自分にあると考えるようになった。

外的な要因を持ち出してあれこれ言い訳を考えても何も生まれず、まず解決すべき問題は自分の内側にある。それを意識するだけでも、様々な問題解決に要していた無駄な時間をだいぶ短縮できるようになるように思う。

4 件のコメント:

  1. さすが岡ちゃん!鋭いね♪この経験はコンサル業で生きるね。当時成功報酬がまともだったらもっと進化できたと思います。

    返信削除
    返信
    1. >Jinさん
      ありがとうございます。しかしあの頃学んだことは、振り返ってみると深いですねぇ。
      余談ですが、この写真何となく智樹さんに似てるから使ってみましたよ。

      削除
  2. ありがとうございますwww

    返信削除
    返信
    1. >先輩
      頑張ってますか~
      こちらこそありがとうございます!

      削除

あなたのひと言が励みになります。