2016年3月6日

シンプル+ポジティブ≒テキトーの方程式


最近、社会保険の手続き業務を一から勉強し直しています。

いわゆる社労士の独占業務の中でも、就業規則の改訂と助成金の申請はコンサルタント業務と絡めて行うことが多いのですが、社会保険の手続きはまた別です。

一般的に、開業したばかりの企業はともかく、中小企業でもある程度従業員を抱えているところは、既に上記の手続き業務を社労士にアウトソースしているケースが多いため、私のような後発に依頼が来るのは、元々契約していた社労士がよほどのヘマをしたか、価格の面で大きなメリットがある時くらいではないでしょうか。


待てど暮らせどやって来ないモノを期待しているのは時間の無駄だし、更に言えば、手続き業務は自分自身好きでも得意でもないので、やらずに済むならそれでよしと割り切っていたところ、先日とある関与先との打ち合わせでこんな「ご意見」をもらいました。

『岡本さんって、何でも肩ひじ張らずテキトーにこなしてる感じで、そういうバランス感覚とか人柄は好きなんだけど、やっぱり手続き業務やらせてもテキトーなんでしょ?』

と、そんな内容のことをさりげなく言われた時、さすがにその場は苦笑して済ませたものの、軽くは聞き流せず、意識を改める必要があると思い直しました。


私は、開業時に自分の苦手なことや得意なこと、強みや弱みなど時間をかけて分析し、客観視して、ポジションを確立したら開き直ってそれを通してきました。そして、そのように自分自身のポジションを確立する時に持たなければならない一つの覚悟があります。それは、10人中10人に好かれるのは無理」だということです。

これはマーケティングにおける差別化戦略の考え方に基づいているのですが、どれだけ天邪鬼な性格でも「とにかくヒトに嫌われたい」という奇特な考えの持ち主は存在しないので、実際に真正面から否定されたりすると、割り切っているつもりでも誰しも多かれ少なかれ凹むものです。

また、前回の記事にも書いたように、人財育成に注力していると、いわゆる社労士の手続き業務とは脳みその使う部分が異なり、ポジティブ思考に偏るため、そのいわば対極にある二つの業務を同時に行うことに対して自分自身も非合理に感じていたのは事実です。そして、先述の関与先もそれを認識しており他意はなく口から出たのではないかと思います。


私にとって、相手から見た自分のテキトーさと言うのは、もう一度会いたい、一緒に仕事をしてみたいといった「いい具合に期待される自分」です。成果の上がる長期的な良い関係を作るためには、無理をして自らの考え方や願望を押し付けるより、相手との距離を考えて、丁度良い加減にテキトーな方が具合が良いのです。

そして、成果をあげられる人というのは、アイデアマンなので企画が立てられます。企画とは、提案ではなく成果を上げる方法であり、それは決して堅苦しいものではなく、どちらかと言えばワクワク感のある、シンプルで取っつきやすいモノだと私は思っています。

ただ、それを長期的に再現可能な方法論の一つとして確立するために体系化しようと考えた時、愕然としました。『これでは私しかできない』と。つまり体系化できないから、誰かにやらせることができない。いわゆる【一人コンサル】しかできないのですね。


結局、長期的な関係を続けるために肩ひじ張らずにやってきたつもりが、もし自分に何か不具合が生じた時、誰も代わりができない。更に言えば、先述の関与先からのご意見は、相手は私に手続き業務のようなことも若干「期待」しているかもしれないのに、それにも応えられない。これでは関係は長続きしないし、もっと突っ込めば、自己満足に過ぎないなと。

私が人材育成の現場でよく言うことですが、ヒトもカイシャも世の中の変化に対応し、常に進化していかなければなりません。私にとって人材育成という業務の体系化はとても難しいですが、これをやらなければ広がりもないので腰を据えて取り組んでいかなければならないと思っています。


そして、その為にまずは体系化しやすい社会保険の手続き業務をもっと理解し、そのプロセスの中から人材育成を体系化するための方法論を探り出していきたいと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿

あなたのひと言が励みになります。