2014年8月19日

青い海を探す


【ブルーオーシャン戦略】という有名な経営戦略がある。

その概略は、ライバルが乱立していて競争の激しい既存の市場をレッドオーシャンと呼び、逆にまだ競争の無い新しい市場をブルーオーシャンと呼んで、これからは、そんな無駄に消耗し合うだけの血みどろの戦いを回避せよというものだ。

私は『今こそ起業するのだ』と考え、初めてこの戦略を知った時、『これだ!』とばかりに勘違いして、全く未知の分野を開拓しようと試みたことがあったが、無い頭をひねって思いついたアイデアは、確かに誰もやっていないことではあっても、冷静になって考えると需要もないという代物であった。



現実の無人島というのが、実際に行ってみると往々にして過酷な自然環境の中にあることは前回述べたが、要するに、私のアイデアはブルーオーシャンでも何でもなく、ライバルはいないが顧客もいない。つまり、現実の無人島と同じで《誰も住んでいない》だけだったのである。
そう言った意味で「ヒトは一人では生きていけない」という哲学的な問題を問うには、うってつけかもしれないが、それは今回の趣旨ではないので省く。

「じゃあブルーオーシャンはもう無いのか?」と、今度は《イノベーション》の意味を調べてみると、


従来のモノ、しくみ、組織などを改革して社会的に意義のある新たな価値創造し、社会に大きな変化をもたらす活動全般を指すきわめて広義概念― 人事労務用語辞典より抜粋

とあった。なるほど。私は、モノやしくみから創造しようと勘違いしていたのである。
 

初めにミッションありき


そこで私は、自らの原点を再確認する。
もともとの発端は、「こんな凡人の私にも、自分にしかできないこと、もしくは自分にならできること、そしてその能力が最も発揮でき、そのうえ人に必要とされ、更には自分がやりがいを感じることがあるはずであり、それは一体何なのか」を考え始めたことにある。
そうして、それを突き詰めていった結果、「地域に根ざし、規模は小さくても何かを起こしてやろうと努力する中小の商店や企業を支援するために、ヒトのコンサルタントとして関わっていくこと」を選ぶことになるのであった。

結局、一番大切な《目的》を問いただし、更には、アイデアとは既存の物事の組み合わせなのだと考え直すことによって、ようやくスタート地点に立てたのである。

そこからは、既存のビジネスモデルを組み合わせたコンテンツ(ホームページ)を作っていくのだが、結局のところ私が無知だっただけで、最終的にやっていたことは、「海を探しにいく」というより「顧客を理解し、顧客に合わせる」といういわゆる《マーケティング》なのであった。


また、余談だが一連のビジネスモデルを決めていく作業は、図書館で借りた大量の書籍を元に、Web検索で裏付けを取りながら進めていったのだけれど、その過程で、かなり具体的で専門的な知識までもが、お金をかけずに、しかも特別な職権や技術などを必要とせず手に入ってしまうことにはひどく感心した。
逆に言うと、こう言った知識集約型の専門職も、単純に《知識を売る》というのでは、ビジネスにはならず、《知識を使って何かのサービスを売る》ということだというのを身を持って知ることになる。

その一方で、自分自身の半生を振り返り、ここに自分のミッションを見付けた時、情報に疎い自分を反省するどころか、今更この命がけの半生を金や名声に換えたいとは、どうしても思えなくなってしまった。
簡単に言えば『明日死ぬかもしれないなら、今日を精一杯生きていこう』という、ある種の腹が据わった境地でもあるが、だからこそ、せめて残りの半分は人の役に立ちたいと切に願い、改めて自分自身を動機付けるのであった。

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